済州島は、島という独特な地理環境とその昔、耽羅国の歴史が息づく固有の民俗文化により、済州ならではの特性を誇っている。
島の中央にそびえ立つ漢拏山を中心に、多種多様な動植物が生息する山林や渓谷、奇岩や沼淵、寄生火山(側火山)や噴火口、洞窟や草原といった豊かな自然景観は天恵の美しさを見せている。また、四方を海に囲まれているため、海辺の奇岩や滝、白い砂浜や島嶼など海岸一帯に広がる景色は、まさに絶景である。このように豊かな山や海は、観光資源として機能している。一方、地域文化の面では、三姓穴といった耽羅国の遺跡から現代にいたるまでの歴史的遺跡をはじめ、土着産業や民俗、精神文化などが、地域固有の観光資源となっている
位置 | 大韓民国南西部 | 人口 | 678,772人(2017年基準) | 面積 | 1,848 ㎢ | |
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気候 | 気候区分 | 温帯海洋性気候 | 言語 | 韓国語 | 通貨 | 韓国ウォン(KRW) |
年平均気温 | 15~16℃ | 空港情報 | 済州国際空港 | 主要都市 | 済州市、西帰浦市 | |
年平均降水量 | 2,044mm | 時差 | GMT+9 | |||
住所 | 済州特別自治道 済州市 文淵路30 環境政策課 | 電話 | +82 64 710 6384 | |||
ファックス | +82 64 710 6019 | ホームページ | http://www.jeju.go.kr |
地形/地質 | 済州特別自治道の地形は、 漢拏山を中心に東西斜面は3˚~5˚の非常に緩やかな傾斜であり、南北斜面は約5˚のやや急な傾斜となっている。また、済州特別自治道の地質は、堆積岩層や玄武岩、粗面質安山岩、粗面岩などの火山岩類と寄生火山(側火山)から噴出した火山砕屑岩などによって構成されており、一部地方の粘砂質土壌を除けば、ほとんどが黒褐色の火山灰土で覆われている。 |
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動物/植物 | 寒帯性と熱帯性の動物(哺乳類の77種、鳥類198種、爬虫類8種、両生類8種、昆虫類873種、蜘蛛類74種)がともに生息している。また、漢拏山を中心に亜熱帯、温帯、寒帯植物など、計2,001種(白頭山:約500種、智異山:約1,000種)の植物が垂直分布しており、まさに植物の宝庫だといえる。この中には、8種の天然記念物が含まれており、漢拏山一帯は国立公園として指定されている。 |
ユネスコ 三冠王の済州 |
済州島は、東西73 km、南北31kmの楕円形の火山島で、島の中央には高さ1,950mの漢拏山が高くそびえ立っている。 火山活動により誕生した済州島は、島全体が「火山博物館」といわれるだけあって、独特で多様な火山地形を誇っている。 地上には大小さまざまな368のオルム(オルム:小規模火山体を意味する済州方言)が見られ、地下には約160の溶岩洞窟が島の全域に散在している。このように一つの小さい島にたくさんのオルムと洞窟のあるのは、世界的にも非常に珍しいといえる。 このような済州の価値は、「生物圏保存地域(ユネスコ・エコパーク)」(2002年)、「世界自然遺産」(2007年)、「世界ジオパーク」(2010年)に登録・認定され、済州は、ユネスコ三冠王を達成した。これは、世界初の偉業であり、済州が、世界の人々がともに守っていかなければならない「環境資産の宝島」として跳躍したあかしだといえる。 |
世界自然遺産 済州 |
ユネスコは、1972年に「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」を採択し、人類が守るべき財産として、顕著な普遍的価値を有する自然や文化財を世界遺産として登録し始めた。世界遺産は「文化遺産、自然遺産、複合遺産」に区分され、2014年の時点で161か国1,007件(文化遺産:779件、自然遺産: 197件、複合遺産31件)が登録されている。
韓国では、石窟庵、仏国寺、海印寺蔵経板殿、宗廟、水原華城、昌徳宮、高敞、和順、江華の支石墓群、慶州歴史地域、朝鮮王陵、河回と良洞村、南漢山城が世界文化遺産として登録されている。済州島は、「済州火山島と熔岩洞窟群」という名称で2007年に韓国で初めて世界自然遺産に登録された。登録されたのは、漢拏山天然保護区域、城山日出峰、拒文オルム溶岩洞窟系であり、済州島の面積の約10%を占めている。
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世界ジオパーク済州 |
世界ジオパークは、地質学的に価値の高い自然遺産地域を保護し、観光振興及び所得向上を図るために設けられたユネスコのプログラムである。2004年にユネスコと欧州ジオパークネットワーク(EGN)の連携によって世界ジオパークネットワークが設立され、世界30か国100か所(2014年時点)が加盟している。
済州島は、2010年10月にユネスコジオパークとして認定された。
多様な火山地形と地質資源をもつ済州は、島全体が世界ジオパークだといえる。中でも代表的な地質名所は、島の中央に位置し済州を象徴する漢拏山、水性火山体の代表的な研究地として知られている水月峰、溶岩ドームで有名な山房山、済州島誕生初期の水性火山活動の歴史をそのまま保持している龍頭海岸、柱状節理(火山爆発後、溶岩が冷めて体積が減った結果、縦に割れて5~6角形の柱状形になった)の形態について学べる場として有名な大浦洞の柱状節理帯、100万年前の海洋環境を伝えてくれる西帰浦の貝類化石層、堆積層の侵蝕と渓谷・瀑布の形成過程を教えてくれる天地淵滝、タフリングの代表的な地形で日の出のオルムで知られる城山日出峰、拒文オルム洞窟系の中で唯一見学が可能な万丈窟、そして2014年に追加された牛島、飛揚島、冬栢東山の計12か所である。
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生物圏保存地域 (ユネスコ・エコパーク) |
生物圏保存地域は、ユネスコ「人間と生物圏(MAB)計画」に基づいて、生物多様性の保全と自然資源の持続可能な利用に向けた取り組みを行う陸地及び沿岸(海洋生態系)地域を指す。登録総数は、109か国、564か所(2011年時点)で、韓国では、雪岳山(1982年)、済州島(2002年)、新安多島海(2009年)、光陵の森(2010年)の4地域が登録されている。
済州島の生物圏保存地域は、島の中央に位置する漢拏山国立公園と天然記念物(天然保護区)に指定されたふたつの河川(霊泉、孝敦川)、3つの島(蚊島、森島、虎島)からなっている。生物圏保存地域には、互いに依存する3つの区域(核心地域、緩衝地域、移行地域)が設けられている。 済州島における生物圏保存地域の核心地域には、高山性灌木林、常緑針葉樹林、落葉広葉樹林、暖帯常緑広葉樹林が分布し、多くの絶滅危機種と固有種の動植物が生息している。緩衝地帯は核心地域を取り囲んでおり、国有林として、山地管理法に基づき保全すべき山地に指定され、保護対象となっている。
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